マシンの近状
HTC 10へ機種変更して引退。
Android 6.0でアップデートが止まっている為、近々検証機としても引退予定。
HTC J butterfly(HTV31)について
au主導で作られた日本国内向けのモデルです。海外でもこの仕様をベースにHTC butterfly 3というモデル発売されました。
基本的には最新世代のHTC One(M9)をベースで、カメラ周りはメイン、イン共にオリジナル仕様で先代HTC J Butterflyより独自性が強化されています。
このモデルからauではVoLTE対応でフル4G LTE世代の端末となり、同時にCDMA非対応の端末となっています。
この影響でこの世代以降と前の世代ではSIMの互換性が無いという状態でした。
またこの世代から64bit ARM搭載となっていてパフォーマンスは向上したのですが、
この時搭載されたSnapdragon 810がある意味欠陥商品で、HTC J butterflyはパフォーマンス優先とした為に
発熱が酷く、バッテリーの持ちが極端に悪いモデルとなっていました。ベンチマークしていると充電より消費が大きいぐらいです。
ゲームをプレイすると初期のAndroid 5.0時代は熱でアプリが止まってしまう事は良くありました。
この関係もあり、結果的に販売は好調とは言えなかった様子で、HTC J butterflyシリーズの最終モデルとなってしまいました。
HTC J butterfly(HTV31)の仕様
項目 | メーカー名 | 名称 |
機種ID | HTC | HTV31 |
SoC | Qualcomm | Snapdragon 810 MSM8994 |
CPU | ARM | 4x 2.0 GHz Cortex-A57 4x 1.6 GHz Cortex-A53 (8 cores) |
RAM | LPDDR4 | 3GB |
Video | Qualcomm | Adreno 430 600MHz (192 Shaders、 |
ストレージ | 内部ストレージ | 32GB |
通信規格 | 4G | FDD-LTE/LTE-Advanced (700MHz/800MHz/2GHz) |
TD-LTE (WiMAX 2.1) | ||
3G | ||
UMTS(W-CDMA) (850MHz/2GHz) |
||
2G | GPRS/EDGE(GSM) (1.9GHz/1.8GHz/900MHz) |
|
Wi-Fi | IEEE 802.11a/b/g/n/ac (2.4GHz/5GHz) | |
Bluetooth | 4.1 | |
FeliCa | 対応 | |
液晶 | 5インチ super LCD 3 | 1440×2560 |
カメラ | リア | 20.2Mピクセル |
フロント | 13Mピクセル | |
バッテリー | 2700mAh | |
OS | 初期 : Android 5.0 (2015年6月) 最終 : Android 6.0.1 (セキュリティバッヂ 2017年8月1日) |
|
HTC Sense | 7.0 |
CPUはある意味Qualcomm製のSnapdragonシリーズの黒歴史のモデルともいえるSnapdragon 810です。
64bit CPUの開発が遅れ、代わりにARMのCortex-Aシリーズをパフォーマンスチューニングせず搭載したために、
Snapdragon 810を搭載したスマートフォン端末ではバッテリー問題で悩まされる事になります。
このHTC J butterflyでは、パフォーマンス重視でバッテリーをあまり考慮しなかったためにスマホとしての実用性という面では難がある端末でした。
GPUのAdreno 430は、Open GL ESの後継と言える新APIのVulkan 1.0に対応していますが、OSレベルではAndroid 7.0以降で対応というため、
この端末では利用できません。
初期のOSはAndroid 5.0、最終メジャーアップデートは2016年10月にリリースされたAndroid 6.0です。
Android 7.0は2016年8月、Android 8.0は2017年8月にGoogleがリリースされていた事もあり、
1世代だけアップデート、OSのアップデートが周回遅れという事で、最新OSのサポートは弱かったです。
海外版のHTC butterfly 3もAndroid 6.0止まりでした。
製品紹介動画
My HTC J butterfly(HTV31)について
フロントより。
左からHTC J Butterfly(HTV31)、HTC J Butterfly(HTL23)、HTC J Butterfly(HTL21)、HTC J(ISW13HT)です。
HTV31では、液晶の上下がガラスではなく、金属になっているのが過去モデルとの大きな違いです。
液晶サイズが大きなったことによって端末の画面の大きさが大きくなっていることが判ります。
バックより。
先代のHTL23と同じDuo Cameraですが、位置情報用のサブカメラの位置が変わっています。
箱です。
箱自体は先代と同じ形でデザインがシンプルになっています。
GeekBench Score
Model | HTC J butterfly (HTV31) |
HTC J Butterfly (HTL23) |
||
CPU | Name | Snapdragon 810 MSM8994 |
Snapdragon 801 MSM8974AC |
|
Core | 8 Cores | 4 Cores | ||
RAM | Type / Size | LPDDR4 3GB | LPDDR3 2GB | |
GPU | Device Name | Adreno 430 | Adreno 330 | |
GeekBench 4 (Intel Core i7-6600U = 4000) |
Single-Core Performance |
Single-Core Score | 1334 | 1039 |
Crypto Score | 819 | 50 | ||
Integer Score | 1500 | 1017 | ||
Floating Point Score | 1059 | 675 | ||
Memory Score | 1504 | 1884 | ||
Multi-Core Performance |
Multi-Core Score | 1914 | 2429 | |
Crypto Score | 3316 | 202 | ||
Integer Score | 2171 | 2844 | ||
Floating Point Score | 1538 | 2303 | ||
Memory Score | 1548 | 2244 | ||
Compute | Open CL Performance Score | 3726 | 2244 |
64bit CPUのARM Cortex-A57 + ARM Cortex-A53という従来のQualcommの独自カスタマイズCPUではなく、ARM純正を採用しています。
これはQualcommの64bit CPUが間に合わなかった為に、最初の64bit CPUは、ARMのbig.LITTLEを採用しています。
この影響で、従来のSnapdragon 801を搭載したHTL23と比較するとスコア的に負けている項目が発生しています。
この問題が解消するは2015年秋以降に登場するQualcomの64bit CPUを搭載したSnapdragon 820からとなります。
GFX Bench
Model | HTC J Butterfly HTV31 |
HTC J Butterfly HTL23 |
||
GPU | Device Name | Adreno 430 | Adreno 330 | |
Shader数 | 192 | 32 | ||
動作周波数 | 600MHz | 578MHz | ||
高レベルテスト | Aztec (High Tier) Open GL ES 3.1 |
オンスクリーン | 370.9 Frames | - |
オフスクリーン(1440p) | 347.3 Frames | - | ||
Aztec (Normal Tier) Open GL ES 3.1 |
オンスクリーン | 584.3 Frames | - | |
オフスクリーン(1080p) | 670.5 Frames | - | ||
Car Chase Open GL ES 3.1 |
オンスクリーン | 307.2 Frames | - | |
オフスクリーン(1080p) | 472.1 Frames | - | ||
マンハッタン 3.1 Open GL ES 3.1 |
オンスクリーン | 507.2 Frames | - | |
オフスクリーン(1440p) | 480.2 Frames | - | ||
オフスクリーン(1080p) | 849.2 Frames | - | ||
マンハッタン Open GL ES 3.0 |
オンスクリーン | 754.8 Frames | 788.9 Frames | |
オフスクリーン(1080p) | 1067.0 Frames | 722.5 Frames | ||
ティラノサウルス レックス Open GL ES 2.0 |
オンスクリーン | 1528.7 Frames | 1637 Frames | |
オフスクリーン(1080p) | 2027.4 Frames | 1564 Frames | ||
低レベルテスト | Tessellation Open GL ES 3.1 |
オンスクリーン | 602.7 Frames | - |
オフスクリーン | 1570.7 Frames | - | ||
算術論理演算 2 Open GL ES 3.0 |
オンスクリーン | 876.9 Frames | 756.6 Frames | |
オフスクリーン(1080p) | 2854.5 Frames | 1451 Frames | ||
ドライブオーバーヘッド 2 Open GL ES 3.0 |
オンスクリーン | 376.3 Frames | 163.0 Frames | |
オフスクリーン(1080p) | 677.0 Frames | 321.4 Frames | ||
Texturing Open GL ES 3.0 |
オンスクリーン | 4461 MTexels/s | 2355 MTexels/s | |
オフスクリーン(1080p) | 4303 MTexels/s | 3123 MTexels/s |
GFX Benchでは、オフスクリーンは圧倒的ですが、オンスクリーンは多くが勝てていない状態に。画面サイズの拡大の影響と思われます。
Android 5.0からOpenGL ES 3.1に対応しているのでスコアが出ています。
3DMark - The Gamer's Benchmark
Model | HTC J Butterfly HTV31 |
HTC J Butterfly HTL23 |
|
GPU | Device Name | Adreno 430 | Adreno 330 |
Shader数 | 192 | 32 | |
動作周波数 | 600MHz | 578MHz | |
Sling Shot Unlimited Open GL ES 3.0 (Android 5以上) |
Score | 1506 | - |
Graphics score | 1986 | - | |
Physics score | 840 | - | |
Sling Shot Open GL ES 3.0 (Android 5以上) |
Score | 1974 | - |
Graphics score | 3111 | - | |
Physics score | 866 | - | |
Ice Storm Unlimited Open GL ES 2.0 |
Score | 23263 | 20203 |
Graphics score | 32899 | 20671 | |
Physics score | 11487 | 18719 |
Windows用ゲーマーベンチマークで有名なFuturemarkの3DMarkです。
OpenGL ES 3.0のテストは、Android 5.0以降ですので、HTC J Butterflyのみとなります。
先代HTC J Butterfly(HTL23)と比較するとGhaphicsは速いがPhysicsが遅いという結果になっています。
写真撮影サンプル
横浜みなとみらいを撮影。
白河小峰城を撮影。
来島海峡大橋(2021年撮影)
今治城(2021年撮影)
コメント
今回のButterfly(HTV31)ですが、パフォーマンスという面では先代Butterfly(HTL23)と比較すると
CPUの発熱問題もあって絶対的に速いと言う事は無いです。
64bit CPU、Android 5.0と次世代Android端末で魅力的ですが、発熱、バッテリー消費問題が全てに水を差していると思われます。
ゲーム、ビデオ撮影などで発熱で途中でアプリが落ちてしまうのは考えものです。
今回のCPUは、チップメーカーのQualcommの開発が間に合わなかった為に汎用のCPUを搭載した事と、
HTC 自体がパフォーマンス重視で日本の端末需要に合っていない事が致命的な敗因と思われます。
(実際国内端末メーカーはパフォーマンスを落としてでもバッテリー、発熱の対策をしていました)